『電子耕』No.108-2003.05.01号

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隔週刊「78歳が送る農業文化マガジン『電子耕』」 第108号    
−健康・農業・食・図書・人物情報・高齢者と若者の交流誌−
http://nazuna.com/tom/
2003.5.1(木)発行 西東京市・ひばりが丘 原田 勉
*************************************発行部数 1807 部***********
<キーワード> 
 健康・食べ物・農林園芸・図書を中心とした雑学情報を提供し、庶民の歴史
も残す。高齢者と若者の交流ミニコミ誌。お互いに情報を交流しましょう。
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★毎日新聞 紀平重成記者 「アジア見聞録」>「銀幕閑話」好評連載中
http://www.mainichi.co.jp/asia/goraku/cinema/
#バックナンバー
http://www.mainichi.co.jp/asia/goraku/cinema/2003/backnumber1.html
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□ 目 次  □----------------------------------------------------
<読者の声>小柴さんから、丹羽さんから、小柴さんから、田口さんから、小
柴さんから、高原さんから、森さんから、斎藤さんから 

<舌耕のネタ>「イラク農業と食糧危機を考える」原田勉
<丹羽敏明の戦争体験>8、「共産軍に投降を勧められる」 
<日本たまご事情>「イザベラ・バードと卵、その2」愛鶏園・斎藤富士雄
<森 清の読後感>「女性と仕事1、知の巨人を撃つ」佐々木千賀子『立花隆
秘書日記』ポプラ社、2003年3月刊、1500円+税
<雑誌新刊>「現代農業」5月増刊号「食の地方分権」農文協900円
<私の近況報告>4月17日〜28日(戦争と演劇)
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<読者の声>(お断り:最近視力が極端に落ちました。そのため従来メールが
きたらすぐ返信していましたが、それが出来なくなりました。今後メルマガ
『電子耕』だけで返信・コメントいたしますので、ご承知ください)
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<読者の声>
■4/17 小柴さんから:イラク戦争に関する一連のコメント群について

静岡の小柴です。
ご無沙汰しております。
さて最近の電子耕に占める戦争批判について
私の感じるところをお伝えします。

まず戦争は絶対悪だという点で
私も大方の意見と同感です。
ただその表現の仕方に付いて嫌悪を免れません。
あまりにも情緒的、感情的に過ぎないでしょうか?
戦争は何も国だけで起こしているわけではありません。
市民がその片棒を担いでいます。
片棒を担ぐ私達市民が
一方的批判にのみ身を置くというのは
一種の無責任ではないかと感じます。

たとえば今の国情を如何憂慮されますか?
いまの経済状態を悲観されますか?
でもこれらは戦後世代がエコノミックアニマルと揶揄されるほどの
狂信的経済活動を行った結果なのではないですか?

殺戮行為そのものは絶対悪です。
しかしその部分だけをあげつらって糾弾に勤しむのは
単なるポーズではないでしょうか。
なぜそうなったか、他の選択肢の場合どうなるか、
こうなった以上はどう始末するか、などなど
考えることは沢山あるはずなのに。

また身の回りから、自分の生活から、行動出来ることもあるはずです。
家制度、隣保制度、供出制度、票取り纏めなど
戦時体制をそのまま引き継いでいる多くの地域社会に対し
「年寄りを大事にしようと」甘えていらっしゃいませんか?
年金の破綻は? 健康保険の破綻は?
なぜそうなったの? 全部政治のせい?
でも自分の子供は大企業社員か公務員にしたいんじゃないんですか?
一個人として、一市民として、自律行動に至れないで居ませんか?

これら絶対的受身の行動原理と
当事者意識を伴わない思考回路は
明治維新後の全ての戦争における当事者「日本国民」と
何ら変わらないように見受けられます。

以上、隣保制度が今に生きる静岡に暮らし
男子3人を育てる父親からでした。
(もし「隣保」という言葉に違和感を感じなければ、あなたは立派な戦争推進
派です。)

●原田からコメント:みなさんで意見の交流をしてください。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
■4/17 丹羽さんから、
107号配信有り難うございました。内容ますます豊富、勉強になります。

米軍の女性捕虜が救出されて、アメリカ国民が等しく彼女を国民的英雄ともて
はやしています。映画にもなるとか。顧みてかつての日本だったらどうだろう
かと思わずにはいられませんでした。捕虜になること事態、恥辱と考えた日本
では、郷里に帰っても大きな顔はしていられないだろうと思いました。「生き
て虜囚の恥」を忍んで帰った復員軍人としては複雑な心境でありました。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
■4/23 田口さんから、
田口です。お世話になります。
原稿いただきました。97号原稿入稿の一番乗りです。
ご指摘のとおり、メディアは戦況は伝えますが、その国の暮らしの
基本である、食料の生産事情がどうなのか、水利施設の現況はど
うなのかについてはほとんど伝えるところがありません。これは、
デスク担当者あるいは記者の素質によるところも大きいのかも
しれません。
アメリカの閣僚だったか、「血を流した国が一番偉い」といったよ
うな発言をしていました。あらたなる士農工商観、いや士工商観
(イラク農民などはこの閣僚の眼中にはないでしょう)がこの戦争
でまきちらされたようにも思います。
先日家族で近くの公園に出かけた際、代かきをしている農家を見
ました。もう田んぼの季節なのですね。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
■4/25 高原さんから、
原田様 今般私の友人の勝俣 昇さん(東京農工大30年農科農業工学専攻)
が本を出されました。勝俣さんは卒業後農林省に入り一貫してダムの専門家と
して活躍し日本の農業用ダムの権威と称されています。また中国東北部の三江
平原の調査でも活躍した方です。今回の本で2冊目ですが段々と文章も練れて
きたように思います。理系の技術者が文系の方のような本(小説風に仕上げて
いる)を造ることは大変努力のいるこたでして、70歳を越して本を書くこと
は大変なことと思います。電子耕に紹介していただきたいと考えます。

  『不整合』 著者:勝俣 昇
  出版者 勝俣昇農業工学研究所
 (〒201−0015 狛江市猪方3−13−8
  TEL03−3488−9435)
   頒価 2000円(送料共)

  目次 第1章関西・淡路大震災の時/第2章流れ盤/第3章海底地滑り/
     第4章 香代子/第5章工事再開/第6章非整合面/第7章処女湛
     水/ 第8章饗宴/あとがき
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
■4/26 森さんから、
拙稿を送ります。少し、「女性と仕事」を考えてみたいと思いまして。
三回連載になります。
本を読まずにも感想を言えるように書いたつもりですが。

●原田からコメント:私も秘書の仕事をしていますので、「秘書の定義」は身
にしみました。私は親に仕えるつもりでいます。幼いときに父を亡くして、い
るのでその代わりと言っては失礼ですかね。もう少し考えてみる課題を与えて
頂いてありがとうございました。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
■4/27 斎藤さんから1、 
原田先輩
昨日(4/26)お陰さまで「東京国際ブックフェア」に行ってきました。
書籍のデジタル化と従来の出版方式をめぐって物凄いことが起きていることが
素人ながら感じることが出来ました、ついでに「読書とインターネットを結ぶ
と面白い」という若い人たちのパネルデスカッションを聞きとても刺激を受け
ました、有難うございました。
農文協のブースで本を買ったらおコメがついてきました。
宿題の<イラクたまご事情>は早速取りかかってみます。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
■4/27 斎藤さんから2、 
「東京国際ブックフェア」の印象です。
家族、友人あてに書いたものです。

 入れたら出せ(4/27)
あまり品の良くないタイトルだが、先日ビッグサイトの「東京国際ブックフェ
ア」をぶらぶらうろついていたら面白い若者たちの話を聞いた。
インターネット時代の読書の楽しみ方について3人の若者が会場でパネルデス
カッションしていた。
「読書は丁度ものを食べるみたいに、入れたら出さなければならない、でない
と詰まってしまうし、出せば出すほど入りが良い」つまり読書によって知識を
詰め込むだけでなく、これを自分なりに形を変えて吐き出せ、排泄せよと言葉
は悪いが言っているのである。
「その吐き出す方法にインターネットはうってつけ」と話していた。一人の若
者松山君は趣味で一年に200冊読みその書評をメルマガで発信している、読
者は8000人を超える。
http://www.netpro.ne.jp/~webook/
もう一人の独身の彼女、相原さんは美女13人のナビゲータとともにセンスの
ある書評を書きまくる。
http://www.hon-cafe.net/
司会をしていた田口君は傑作でとにかく
http://www.100shiki.com/
を見て欲しい。
そこには新しい時代の読書の楽しみ方を予感させるものがあった。

●原田からコメント:二つのメール有り難うございました。
松山真之介さんは私の岩波アクティブ新書も紹介してくれました。
いずれも大した若者ですね、期待しています。

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<舌耕のネタ>「イラク農業と食糧危機を考える」原田 勉
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 イラク戦争の被害は女子供など弱い者に多く現れる。
 ところが、テレビも新聞も戦況報道はするが農業生産や農民・市民の被害実
態は殆ど報道されていない。わずかにNHKTV4月6日のスペシャルで、イ
ラクでは湾岸戦争の後、40万人以上の乳幼児が国連の経済制裁下で死んだと
いう報道がなされた。
 爆撃による潅漑施設の破壊や油田の火災で環境が汚染されていると考えられ
るが、水や食糧、農業生産はどうなっているのか。
 
 イラクは古代農耕文明発祥地である。この辺はパンコムギの先祖が発見され
たことでも知られる。そのメソポタミア文明の基礎は潅漑農業であった。古代
から水を制するものがイラクを制すという、宿命の歴史がある。
 ユーフラテス河2,800キロとチグリス河1,800キロの水源はトルコ
の山地で、標高2,000メートルの雪解け水である。農業・生活の基盤にな
っているのは地表の河川、地下から湧き出る地下水である。この水は運河によ
って都市に供給され、農業にも回されていた。潅漑施設の維持は都市と政権の
死命を制する重要な基盤であった。その崩壊はただちに政権の没落を意味し、
幾つもの王朝が水不足のために滅びてしまった。
 こうした宿命は、現代イラクにも引き継がれている。大規模な工場が建設さ
れても経済の基盤は農業であり、産業・経済の発展は治水・潅漑・排水など水
利問題の解決なしには達成されないと言われてきた。
 しかし、現代イラクではチグリス、ユーフラテス両河についで第3の河とも
いうべき石油が発見され、それに依存した経済によって現在の不幸が始まった。
石油輸出による財政によってフセイン独裁体制が確立し軍事化が行われた。イ
ラクが12年前にクエートに侵攻したのも石油のためであった。1980年代
には米国がフセイン政権を軍事、財政的に支援したのも石油のためであり、今
度のイラク攻撃も石油が狙いと言われている。

 「イラク農業の概要」(農林水産省03.3.20)によると、総人口2,450
万人を養う農業人口は227万人(総人口の10%)。耕地面積は554万ヘ
クタール(国土の13%)、潅漑面積は353ヘクタール。おもな農産物は小
麦、大麦、野菜。近年の穀物生産は国連の経済制裁により肥料、農薬、農業機
械などの資材確保がむずかしく、2年続きの干ばつもあって穀物自給率は20
00年に15%に落ちている。
 日本農業新聞(03.4.15)国際乾燥地域農業研究センター所長の寄稿による
と、「イラク農業は耕地・水不足が深刻だ。水管理は劣化する潅漑システムに
深刻な水問題に直面し、改善に欠かせない機械、資材は不足し、土壌劣化や塩
害による収量の減少を来たしている」という。さらに米英軍の爆撃や戦闘で潅
漑ポンプ、農薬研究・製造など農業関連施設は破壊された。またイラク市民は
当面の食料を確保しているものの「今後7月にかけて本格化する穀倉地帯の北
部イラクの小麦、大麦合わせて170万トンの収穫が見込まれているが、コン
バインを所有している政府が戦乱で機能しなければ収穫適期を逃がしてしまう
危険性が大きい」と心配している。  

 以上によって分かることは、イラクは石油経済に依存し、輸入食糧に頼って
自給を忘れた国となり、12年まえのクエート侵攻によって湾岸戦争を引き起
こし、それ以来戦争経済状態(経済制裁)にあって益々食糧・農業危機が大き
くなり、今度の米英軍の侵攻によって更に壊滅状態になったと想像される。

 日本には何ができるのか:「イラクに対する政府米の支援について」農林水
産省は4月9日、タイ産米7,600トン、国内産米2,400トンの計1万
トンを名古屋港から5月中旬までに積み出すことを決定した。これはWFP
(国連世界食糧計画日本事務所)から可能な限り早く米をイラクに輸送して欲
しい旨の要請があったからという。
 しかし、米国のイラク攻撃にいち早く支持を表明し、米英軍への油補給船や
イージス艦を派遣した日本が果たしてイラク国民に歓迎されるだろうか。
 イラク農業の再建の課題は多い。長期的な持続可能な農業の土地利用、水資
源、生態系、環境保護など広い視点から取り組む必要がある。
 日本における乾燥地域の農業研究では鳥取大学砂丘利用研究施設の先駆的実
績があるし、中東諸国に派遣されたJICA専門家の学者・研究者も多い。民
間でも「風の学校」の中田正一さんや「砂漠緑化に粘土団子」を奬めている福
岡正信さんらの草の根運動に学ぶことが多い。この度、山崎農業研究所編で発
行された『21世紀水危機・農からの発想』では「水危機が世界をおびやかす・
池上甲一」が潅漑の時代の終焉を説き、多くの示唆を与えてくれた。
 イラク農業の危機を前にして、国際的協力や国内農業の教訓としても、われ
われに大きな課題が与えられた思いがする。

国連世界食糧計画日本事務所
http://www.wfp.or.jp/

原田 勉
http://nazuna.com/tom/

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<丹羽敏明の戦争体験>8、「共産軍に投降を勧められる」 
4/17
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ここの駐屯地の全日本軍が最終の集結地であるシンガポールへ向けて移動を開
始したころ、私たちの中隊から英軍に引き渡す航空用ガソリンを警備するため
の使役を出すよう命ぜられ、将校以下10名が選ばれた。その中に私も入ってい
た。航空用ガソリンのドラム缶は小高い丘陵のゴム林の中に埋めてあった。警
備期間はいつまでと決められておらず、昼夜兼行の警備になるので仮眠室のあ
る衛兵所を設けた。この丘陵の麓一帯は共産軍の巣窟といわれていた。警備区
域は動哨で一巡するのに約2時間を要した。昼間は共産軍に見せびらかすため
銃を携行(英軍から一時返還してもらい)するが、夜の動哨には銃の携行は許
可されずこん棒を持って、共産軍が盗掘に現れたら説得して帰ってもらえとい
う理不尽な命令内容であった。

仮眠できるのは約2時間、寝たと思ったらすぐ勤務の順番が回ってくるので常
に寝不足の状態だったから、動哨中に休憩したまま寝込むこともあった。ある
日のことバリバリ音がするので目を覚ますと、枕元に十数頭の猪(現地語では
バビ)がゴムの実を食べていた。急に起きて驚かすと襲われる恐れがあるので
猪が立ち去るまで寝た姿勢のままじっとしていたが、恐怖のひとときだった。
またある雨の日、白く光る石のようなものがあるので近づいてみると、それは
人間の骸骨だった。現地人が餓死したものだということだった。

衛兵勤務をしていたある日、機関銃を持った3人の共産兵が訪れた。中の一人
が九州訛りの巧みな日本語で、「われわれは近く京都に進駐することになって
いる。あなた方も共産軍に投降すれば早く日本へ帰れるでしょう」と投降・脱
走を勧めに来たのだった。もちろん断った。その場はおとなしく帰った。あと

襲撃されることを覚悟して警戒していたが、二度と来ることはなかった。マレ
イの共産軍は日本軍に対しては友好的であった。

後年、平成元年5月19日付けの新聞記事に、タイ南部のマレーシア国境沿い
のジャングルで生存していた二人の残留日本人のことが載っていた。その人た
ちは日南製鉄の社員としてマレーに渡り、終戦後はマレー共産党のゲリラ組織
に参加してそのまま現地に滞在していたらしい。そのうちの一人が熊本県出身
だった
ので、もしかしたら衛兵所に現れた人だったかも知れないと思った。

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<日本たまご事情>「イザベラ・バードと卵、その2」愛鶏園・斎藤富士雄
4/27
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イザベラ・バードと卵 その2
前回、明治11年イザベラが歩いた東北地方の農村では鶏の食用は一般的では
なく、その入手に苦労した話をしました。私の畏敬するニワトリ博士の得猪さ
んにこのあたりの事情を教えてもらいましたところ、やはり江戸時代中期まで
日本人は鶏を食べる習慣がなく、これは古くは天武天皇(675年)の仏教の
教えにもとづいた食肉禁止令に遡るという。

「昔の漆黒の夜は想像もつかぬほど恐ろしさで、悪魔妖怪の跋扈する世界だっ
た、それを突き破る一番鶏の声は夜の魔性を打ち払う力があるとされ、鶏を食
べることなどとんでもない事であった」、また「殺生肉食の詔が正式に宮中で
解禁になったのは明治5年のこと」だそうです。
食肉禁止令の対象となっていなかった雉、鶴、雁、鴨、鶉、雲雀、、、などは
おおいに食べられたが、鶏はおおっぴらには食用にされなかった習慣が残って
いて、イザベラは鶏がなかなか手に入らなかったようです。

齋藤 富士雄
(株)愛鶏園
http://www.ikn.co.jp/

#編集部注:イザベラ・バードについては、
ハイジアパーク南陽
http://www.dewa.or.jp/hygeia/
http://www.city.nanyo.yamagata.jp/WEBS/REKISI/IZaBERa/ISA2.htm
に記念館・略年譜・生涯の紹介ページがあります。

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<森 清の読後感>「女性と仕事1、知の巨人を撃つ」佐々木千賀子『立花隆
秘書日記』ポプラ社、2003年3月刊、1500円+税
4/26
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佐々木千賀子『立花隆秘書日記』ポプラ社、2003年3月、1500円+税
http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=03014679

「女性と仕事(1) 知の巨人を撃つ」
 著者は、1993年5月から1998年末まで評論家立花隆氏の秘書を務めた。
 私は、店頭で巻末の「さいごに」という立花隆氏への書簡の形をとった文章
を走り読みし、すぐにレジへ向かった。大きな注文を立花氏につけていたから
である。もう、文献や資料を読み解いて評論するのは止めにしてほしい、立花
氏自身が心底から記し伝えたい事柄を書いてほしいという注文である。
 
 小松左京氏の秘書を務めた後、会社勤めをしたりしてその頃フリー生活をし
ていた著者は、立花氏の秘書募集の新聞広告に応募した。すでに40歳になって
いた著者には、応募要項にある「年齢不問」がまぶしく見えた。就職活動で年
齢の壁に打ちひしがれていたから、「固20万」はよしとしたのであるらしい。
500人といわれる応募者から選ばれた20人の面接者に混じって格闘し、採用さ
れた。採用は一人だった。

SF作家の小松氏とは違い、日々の社会現象に鋭く対応することが仕事の世界
で立花氏と共に立ち向かう働きは、興味深いものだった。
働き始めて半年後に「立花隆25年」のパーティに立会ってその人脈の人々と出会
い、すぐに田中角栄死去のニュースで立花氏と共にジャーナリズムの渦に巻き
込まれ、翌々年のロッキード裁判最終判決にも共に立会い、地下鉄サリン事件、
国松警察庁長官狙撃事件、オウム事件と続く累々の社会事件に遭遇する。
それらの事件にコメントし論説を執筆する立花氏を助けるに秘書は、一つの定
義を持って対処した。「自分が傷つくことを厭わない自己犠牲の精神」。何が
必要か予測できない状況で、充分に備える。たとえ、努力がほとんど報われな
くともそれでいい。その自己犠牲が他人の手足になることであるという悟り。
それは、著者が全く言っていないけれども、「福祉の精神」ということでもあ
る。障害者や高齢者への対応は、著者の「秘書定義」を範とするといい。

立花氏が東大で客員教授を務めた3年間を伴走して著者は、その年末に秘書を
辞した。4月に解雇予告を受けていたのである。
予告を受ける直前に立花氏は、週刊誌の対談で自身の経済的困難性を告白し、
「秘書にも給料渡さなくちゃならないし」と秘書佐々木氏を「憂鬱」にさせる
発言をしたという。著者は、「働き」に対しては「薄給」と思っていた。しか
し、給料に優る付加価値があるから働いていた。それでも、その「働き」を認
められていると思って身を粉にしていた。それが、払う給料を余分な払いと思
っているとあれば、報われない。

「知の巨人」といわれ、時代の思想を代表するかという知識人立花氏にして労
働に対しての認識が甘い。その労働が女性のだからかと短絡的には決め付けら
れないが、その気配は感じられる。著者はそのことを問題にしていないけれど
も、読者には気がかりなところである。「立花氏よ、君もか!」
しかし著者は、秘書を務めながら、立花氏の才能には敬意を抱いていたようで
ある。それだけに、その才能が安易に費消されることを残念に思っているので
あろう。
いま著者は、新しい分野の仕事で活躍中のようである。その舞台への飛翔を可
能にしたのは立花秘書の仕事でもあるらしい。そのように、一つの仕事を次へ
つないで人は働き生きていくのがいい。そのモデルともうかがえる。

森 清
http://homepage2.nifty.com/morikiyoshi/

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<雑誌新刊>「現代農業」5月増刊号「食の地方分権」農文協900円
http://www.ruralnet.or.jp/zoukan/index.html
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 サブタイトル・地産地消で地域の自立(以下、主な目次紹介)
 誰もが傍観者ではいられない「食の地方分権」「多様な食の道づくり」生命
と生存のための食料を「食の中央集権」から取り戻す・・結城登美雄
浅野史郎宮城県知事・結城氏・高野氏の囲炉裏鼎談、テーマなき地方分権か
ら「食の地方分権」へ(宮城県宮崎町「食の博物館・冬編」会場から)
 「いわて地元学」から「食の地方分権」へ、岩手・増田寛也知事インタビュ
ー。東北「食の地方分権」に真の分権を見た・・高野孟
 資料:都道府県別、市町村別食料自給率がわかる「我国の食料自給率」
 その他、各地の地産地消・家庭料理、地域の食卓満載。

目次
http://www.ruralnet.or.jp/zoukan/200305syoku_m.htm
編集後記
http://www.ruralnet.or.jp/zoukan/200305syoku_h.htm

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<私の近況報告>4月17日〜28日(戦争と演劇)
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4月18日、近藤康男先生の自宅でスケジュールの打ち合わせ。

22日、骨髄腫の定期検診、血液検査の結果はその後も進行せず、安心する。

23日、山崎農業研究所「耕」の原稿「イラク戦争と食糧・農業の危機を考え
る」を送信する。その日の内に編集部田口さんから返信がある。
本号<読者の声>に掲載する。

24日、2坪菜園にキュウリ、トマト、茄子3株づつの定植をする。葉もの野
菜やきぬさや豌豆では朝の食卓におしたしを提供し、家族に褒められる。今年
は初めて夏野菜の成りものに挑戦、うまく行けばよいが。先が楽しみ。

25日、近藤康男先生自宅で文芸春秋臨時増刊号「大養生・百歳人生の健康読
本」のインタビューの介添えを行う。松尾秀助記者は百歳以上の方10人の紹
介記事を書くという。うち8人の方の取材をしたがそれぞれの方が百歳を越え
てもなお目標を持って生きておられることに感動したという。取材は農林統計、
満州農業移民、戦後の作物報告事務所まで広範におよぶ。
同じ日、山崎農業研究所の研究会で山崎耕宇「キューバ農業と技術協力の課題」
、大山勝夫「拡大する遺伝子組換え作物」の報告を聞く。

26日、劇団文化座の「遠い花」を観る。英国貴族軍人と日本女性の悲恋物語。
 佐々木愛が「この家族の物語を人に伝えないではいられない気持ち」がしみ
じみと感じられた。日露戦争から現代までの20世紀は戦争の時代だった。約
100年の間に多くの戦争があり、この家族も傷つき死の苦しみを受けた。そ
れでもなお夫婦の愛の絆は切れず続き、親子の苦悩も愛によって救われた。
 3年前の初演から現在の再演の間に世界は再び戦争の危険が迫った。戦争と
死を思う日本人の心を撃つ「愛と苦悩の切なさ」が今回の公演を盛り上げた。
観劇後の交流会で初老の男まで「泣きました」と涙を拭いていた。イラク戦争
は世界の人々に平和と愛の大切さを呼び覚ましたと思う。

原作:「ピーチ・ブロッサムへ 英国貴族軍人が変体仮名で綴る千の恋文」
葉月奈津・若林尚司  藤原書店 刊
http://www.trc.co.jp/trc/book/book.idc?JLA=98031297

27日、自治会の清掃日、アパートの周りの除草取りと清掃に参加する。
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次回109号の締切は5月13日、発行5月15日の予定

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◎お願い「<読者の声>の投稿規定・メールの書き方」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1、件名(見出し)を必ず書くこと。読みたくなる見出しを簡潔・明瞭に。
「はじめまして」は省略して、言いたいことを具体的にズバリと書き出す。
2、氏名・ハンドルネームは、文末ではなく始めの方に書く。
3、1回1テーマ、書き出し・本文・結論を10行位にまとめる。
4、送信する前に、何を言わんとするか、読み返し、推敲することが大切。
5、ホームページを持っている人は、文末にURLをつける。
6、JIS X0208 規格外の文字(機種依存文字)のチェックをする。
http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/networks/check/jisx0208.html
インターネットで使えない丸数字や半角カタカナ、括弧入り略号などは文字化
けの原因です。htmlメールもご遠慮ください。
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★『メールマガジンの楽しみ方』発売中
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
書名:岩波アクティブ新書45『メールマガジンの楽しみ方』
著者:原田 勉 定価:本体700円+税 発行日:2002年10月4日
発行所:岩波書店 ISBN4-00-700045-X
まえがき・目次・著者紹介・注文方法はこちら
http://nazuna.com/tom/book.html
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『電子耕』から大切なお知らせ
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<本誌記事の無断転載を禁じます>
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