78歳の伝記ライター 原田 勉
『電子耕』116号
<舌耕のネタ>2003,8,28

高齢者の不幸と幸福を決めるもの 原田勉

 「老いを不幸にする最大の原因は、高齢者が自らを表現することが困難になり、青年・壮年は高齢の内実を想像できないことにある」(『文芸春秋』2001.VOL.79 NO.15 東谷暁)という文章がありました。

 近藤康男『七十歳からの人生』の編集をしているときに、近藤康男は稀にみる超長寿者だから、その人の真似はできなくても少しは近づけるかなと考えて私は74歳から『電子耕』を始めました。目的は今の内に自己表現をしたい思いだったのです。それによって高齢者と若者の<読者の声>の交流を通じて、思いもかけぬ多くの人々との出逢いが生まれ、いろいろなことを学びました。病気になって落ち込んでもメル友に激励されて無事78歳になりました。

 思えば、私にとってこの3年余りのメルマガ生活は「晩年になって最高の幸せを得ることができた」と読者の皆さまに感謝しております。

 しかし、このたび私は視力低下により自己表現が難しくなりました。とても100歳を超えても著述をしておられる近藤康男先生のようにはいきません。

私の周りでも75歳を過ぎると手紙を出すのも電話をかけるのもおっくうになったという友人が増えてきました。研究会やクラス会の出席者も年々少なくなって交流が出来なくなっています。

はじめに挙げた引用文のように「老いの不幸は自己表現が困難になり」その高齢者の身体や心の変化を若い人は想像できません。昔の人は、「その寂しさに耐えながら生きてきたのだ」と今になってわかりました。人間は、その場にならないと判らないとは情けない話ですが、誰もが通る道でしょうか。

 私は眼が見えるかぎり、「がんばらない、諦めない」で少しづつでも<舌耕のネタ>のコラムで自己表現を続けていきたいと思っております。どうぞ今後ともよろしくお願いします(2003.8.25)。


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